目次
「法人ETCカードを作りたい。」という方に法人ETCカードの作り方を解説します。
法人ETCカードは大きく分けて2種類ある
- 法人カード(法人クレジットカード)に追加カードとして付帯されている「法人ETCカード」
- クレジット機能がない協同組合が発行している「法人ETCカード」
の2種類です。
一般のETCカードにも
- クレジットカードに付帯されたETCカード
- クレジット機能がないETCカード(パーソナルカード)
という2種類があるのと同じように
法人ETCカードにも
- 法人カードに付帯された法人ETCカード
- クレジット機能がない法人ETCカード
という2種類があるのです。
では何が違うのでしょうか?
法人カードに付帯された法人ETCカードの仕組み
法人カードに付帯された法人ETCカードとは
個人事業主、法人経営者向けに発行される法人カードは、経費の支払にクレジットカード払いが利用でき、利用した金額は登録した法人口座から引き落とされることになります。クレジットカード会社は、この法人カードに追加カードとして「法人用のETCカード」を用意しているのです。
この法人ETCカードで高速道路のETCレーンを通過すれば、自動的に高速料金が支払われ、親カードである法人カードに登録された法人口座から引き落としされます。
引き落としのタイミングも、親カードの法人カードに準ずることになるので、月末締め翌月末の引き落としというように30日後~60日後の引き落としになります。
法人カードの管理画面には
- どの法人ETCカードが
- どの区間の料金で
- いつ利用したのか?
が表示されるので、法人ETCカードを利用する社員がいちいち経費の申請をする手間なのはなくなるのです。
大きな特徴としては
- 年会費無料で発行されることが多い
- 1枚の親カードで複数枚の法人ETCカードが発行可能
- 親カードである法人カードのポイントが貯まる
というものがあります。
クレジット機能がない法人ETCカードとは
協同組合が発行している請求書方式の法人ETCカードのことです。
協同組合とは
共通する目的のために個人あるいは中小企業者等が集まり、組合員となって事業体を設立して共同で所有し、民主的な管理運営を行っていく 非営利の相互扶助組織のこと
となっています。
身近な例を上げれば
- 「JA」は「農業協同組合」です。
- 「生協」は「生活協同組合」です。
ETCの協同組合には
- ETC協同組合
- 高速情報協同組合
などがあり、中小企業や個人事業主のための法人ETCカードをカード会社と提携して発行しているのです。
この法人ETCカードは、セディナカード、UCカードなどのカード会社と提携して発行されますが、クレジット機能はなく、請求書によって後払いによる支払いが行われます。
協同組合では
- 加入時に「出資金」を支払う
- 退会時に「出資金」は返還される
仕組みが採用されていて、後払いなので万が一、法人ETCカードを利用している会社が倒産して支払いが滞った場合に、この出資金から支払いが行われるのです。
出資金 = デポジット(保証金)
の役割を果たしているのです。
大きな特徴としては
- クレジット機能がない
- 走行料金に応じた手数料が発生する
- 年会費や発行手数料も発生する
というものがあります。
「法人カードに付帯される法人ETCカード」と「協同組合が発行する法人ETCカード」比較
項目 | 法人カードに付帯される法人ETCカード | 協同組合が発行する法人ETCカード |
---|---|---|
発行主体 | カード会社 | 協同組合 |
入会金/出資金 | 無料 | 出資金1万円/社(退会時変換) |
発行手数料 | 無料 | 550円~880円/枚 |
年会費 | 永年無料、初年度無料のものも多い。 | 550円~880円/枚 |
走行料金手数料 | 無料 | 毎月の走行金額の5~8% |
発行枚数 | 親カード1枚につき数枚~数十枚 | 無制限だが1枚ごとに費用が発生する |
支払方法 | クレジット払い(親カード登録の法人口座から引き落とし) | 請求書による後払い |
支払サイト | 締日から支払いまで30日~60日 | 締日から支払いまで30日~60日 |
割引サービス | ETCカードの既存の割引特典 | ETCカードの既存の割引特典 ※一部カードは独自の割引あり |
ETCマイレージ | 利用可能 | 利用可能 |
ポイントプログラム | ポイント還元率0.5%~1.0% | なし |
利用限度額 | あり。親カードの限度額の範囲内で利用できる | なし |
発行までの期間 | 5日~3週間 | 10日程度 |
車両限定 | なし | ないものもある ※一部車両登録が必要なカードあり |
選択肢 | 50枚前後 | 5枚前後 |
審査 | 法人カードの審査が必要。審査は厳しい | クレジットの審査は不要。審査は甘い |
クレジット機能なしの法人ETCカードは選んではいけない理由
理由その1.何百倍もコスト高
年会費永年無料の法人カードに付帯されている法人ETCカードの場合
- 親カードの発行手数料:無料
- 親カードの年会費:無料
- 法人ETCカードの発行手数料:無料
- 法人ETCカードの年会費:無料
- 入会金/出資金:無料
- 走行料金手数料:無料
ですから、法人ETCカードの発行は「完全に無料」です。
1円もいりません。
協同組合が発行する法人ETCカードの場合
月5万円の法人ETCカード利用があるとした場合
- 入会金/出資金:1万円
- 法人ETCカードの発行手数料:550円(税込)/1枚
- 法人ETCカードの年会費:550円(税込)/1枚
- 走行料金手数料:5万円 × 12ヶ月 × 5% = 3万円
1枚の法人ETCカードあたり:31,000円 + 10,000円/社(退会時返還)
のコストが発生するのです。
もし、仕事で使う車両が5台あって、法人ETCカードが5枚必要だと仮定したら
年会費永年無料の法人カードに付帯されている法人ETCカードの場合
0円 × 5枚 = 0円
協同組合が発行する法人ETCカードの場合
31,000円 × 5枚 + 出資金10,000円/社 = 165,000円
もし、仕事で使う車両が10台あって、法人ETCカードが10枚必要だと仮定したら
年会費永年無料の法人カードに付帯されている法人ETCカードの場合
0円 × 10枚 = 0円
協同組合が発行する法人ETCカードの場合
31,000円 × 10枚 + 出資金10,000円/社 = 320,000円
です。
もう言うまでもありませんね。
コスト面で比較するのであれば、圧倒的に「年会費永年無料の法人カードに付帯されている法人ETCカード」の方がお得なのです。
しかも、親カードの法人カードによっては
ポイント還元率:0.5%~1.0%
のポイントが加算されます。法人カードのポイントは電子マネーなどに交換できる金銭的価値のあるものですから、その分もお得になるのです。
よくある勘違い
「協同組合が発行する法人ETCカード」のウェブサイトには
ETC割引の情報やETCマイレージサービスの情報が記載されています。
例
しかし、これらは、どのETCカードでも利用できるETCの割引特典です。
「法人カードに付帯されている法人ETCカード」でも利用できるETC割引ですので、勘違いしないように注意が必要です。
ETCマイレージも、どのETCカードでも利用することができます。
理由その2.法人カードの審査も緩くなっている時代
前述した情報を見れば
「なんで、こんなに高いのに協同組合が発行する法人ETCカードを選ぶ方がいるのだろう?」
と思う方も多いかと思います。
協同組合が発行する法人ETCカードの存在意義は
「クレジット審査がないこと」
なのです。
クレジット機能がない後払いの方式ですので、クレジットカード会社の審査が必要ありません。
法人カード審査では
- 事業歴
- 経常利益
- 経営者の信用力
などが重視されるため
- 起業間もない会社だから法人カードが作れなかった。
- 事業歴が1年しか経過していないから法人カードが作れなかった。
- 年商が不足していて法人カードが作れなかった。
- 赤字だから法人カードが作れなかった。
- 過去に返済遅延をしていたから法人カードが作れなかった。
・・・
と審査に通らない「法人経営者」「個人事業主」も多くいるのです。
この場合、法人ETCカードを作ろうとしても、クレジットカード会社の審査は通らないので「協同組合が発行する法人ETCカード」を選ばざるえないのです。
しかし、現在では、大分以前よりは法人カード審査は緩くなっています。
理由としては
- カード会社が法人のカード利用額が大きく、美味しいことに気付いた。
- 法人カードに参入するカード会社が増えたので競争せざるえない状態になった。
- 個人のクレジットカードは大手のカード(楽天カードやYahoo!カード)に勝てない。
・・・
という環境にあるので
起業直後でも法人カード審査に通るようになった。
のです。
実際に筆者は
会社を2社経営していますが、2枚とも起業直後に法人カードを作っています。
法人カードの審査が通らないから、コスト高なのはわかっていても、「協同組合が発行する法人ETCカード」を選ばざるをえなかったのですが、
法人カードの審査が通るのであれば、わざわざコスト高な「協同組合が発行する法人ETCカード」を選ぶ必要がない
とも言えるのです。
理由その3.結局、法人カードは必要
徐々にインターネットのクラウド系のサービスを中心として、法人や個人事業主のクレジット決済が定着してきています。
- インターネット広告宣伝費
- 光熱費
- クラウドソーシング
- wifi
- 光回線
- 通信費
- 一部の税金支払い
- 消耗品
- オフィス家具
- 宅配・デリバリー
- 会計サービス
・・・
など、クレジットカードによる決済がビジネスシーンでも当たり前になってきているのです。
ビジネス向けのサービスの場合、銀行振込による支払いも選べるものが多いのですが
- クレジット決済しか対応していないサービスがある
- クレジット決済ならリアルタイムで即時利用できるが、銀行振込だと数営業日時間が遅れてしまうサービスがある
と、サービスの提供側も、資金の回収漏れがないクレジット決済を望むことが多く、クレジット決済を重視するビジネスサービスが増えてきているのです。
だとすれば
遅かれ早かれ、法人カードは必要になる
のです。
法人ETCカードを作る時に法人カードを作ってしまえば良いのですから、わざわざクレジット機能がない法人ETCカードを作る必要性がないのです。
まとめると
クレジット機能なしの法人ETCカードは選んではいけない理由は
- 運用コストが何十倍、何百倍も高い
- 法人カードの審査も以前よりは通りやすくなっている
- 遅かれ早かれ法人カードは必要になる
からです。
自信を持って
「法人カードに付帯される法人ETCカード」を作るべき
と言いきれます。
クレジット機能なしの法人ETCカードを作るべき唯一のケースは?
甘くなった法人カードの審査にも通らないケース
「起業直後の法人でも作れる法人カードの審査に落ちることってあるの?」
あります。
いくら以前と比較して法人カードの審査が甘くなったと言っても、
- 過去に返済事故を起こしている
- 過去に債務整理をしている
経営者の場合は、ほとんどのケースで法人カードの審査には通りません。
このケースでは、法人ETCカードを持ちたければ「クレジット機能なしの法人ETCカード」しか選択肢はありません。
返済事故も起こしていないし、債務整理もしていないんだけど法人カード審査に通らない私はどうすればいいの?
選んでいる法人カードが悪いのです。
法人カード審査は
- プロパーカード:審査が厳しい
- 外資系カード:審査がやや甘い
- マイナーカード会社の法人カード:審査が甘い
- ビジネスローン会社の提携カード:審査がとても甘い
という傾向にあります。
JCB法人カードや三井住友ビジネスカードなどのプロパーカードは審査が厳しいのです。
一方で
- マイナーカード会社の法人カード:EX Gold for Biz M(エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エム)(エグゼクティブゴールドフォービズ エム
などは審査の甘い法人カードとなっています。
まとめ
クレジット機能なしの法人ETCカードは選んではいけません。
なぜなら
- 運用コストが何十倍、何百倍も高い
- 法人カードの審査も以前よりは通りやすくなっている
- 遅かれ早かれ法人カードは必要になる
からです。
唯一、クレジット機能なしの法人ETCカードが必要なケースは
- 審査に通りやすいと当サイトで紹介されている法人カードに申込んでも、審査に通らなかったとき
だけです。
クレジット機能なしの法人ETCカードの方が、クレジットカード利用に馴染みのない方は「安心できる」「請求書の方が簡単」と思ってしまいがちですが、数万円~十数万円も無駄にコストが発生してしまうのでおすすめできません。慣れてしまえば、法人カードの「WEB明細」の方が簡単であり、カード会社であれば紛失時や盗難時の損害を補償してくれるので「安全である」ことも理解できるはずです。
無駄なコストを使わない法人ETCカード選びをおすすめします。