個人事業主向けの法人カードと法人向けの法人カードの違い。どちらを選ぶべきか?

「個人事業主向けの法人カードと法人向けの法人カードは何が違うのでしょうか?」

法人カードは、法人経営者や個人事業主が事業用に使えるクレジットカードです。法人カードによって、法人経営者利用ができるカード、個人事業主が利用できるカード、法人経営者でも個人事業主でも利用できるカードがあります。今回は、法人カードの個人事業主利用と法人経営者利用の違いについて解説します。

個人事業主向けの法人カードと法人向けの法人カードとは?

法人カードにも

  • 法人経営者を対象に発行する法人カード
  • 個人事業主を対象に発行する法人カード

の2種類があります。

最近では

  • 社員数が10名以上の法人経営者を対象に発行する法人カード
  • 個人事業主、社員数が10名未満の法人を対象に発行する法人カード

という分け方になっていることも多いのですが

  • 個人事業主、フリーランス、自営業者、社員数数名の小規模法人向けの法人カード
  • 社員数が一定以上いる法人向けの法人カード

では、法人カードのサービスの特性が異なるのです。

個人事業主向け法人カードと法人向け法人カードの両方を提供している法人カード礼

三井住友カード

比較項目 三井住友ビジネスカード
for Owners
三井住友ビジネスカード
お申し込み対象 満20歳以上の法人代表者、個人事業主の方 法人のみを対象(カード使用者は20名以下が目安)
年会費 本会員 1,375円(税込)
パートナー会員1名につき 440円(税込)
使用者1名 1,375円(税込)
2名から1名につき 440円(税込)
カード利用枠 10~150万円 20~150万円
キャッシングリボ 0~50万円
利率(実質年率)15.0%
キャッシュサービス 0~50万円
利率(実質年率)18.0%
0~30万円
利率(実質年率)15.0%
お支払い方法 1回払い・リボ払い・分割払い・2回払い・ボーナス一括払い 1回払いのみ
決済口座 (法人代表者の方)法人口座、もしくはお申し込みご本人の個人名義口座
(個人事業主の方)お申し込みご本人の個人名義口座、もしくは個人事業主(屋号)名口座
法人名義口座
追加カード・電子マネー ETC、iD、Apple Pay、プラスEX、PiTaPa、WAON ETC(複数枚発行)、プラスEX
ポイント
ETC(複数枚発行)、プラスEX

JCB

比較項目 JCB CARD Biz JCB法人カード
年会費
(カード使用者1名様の場合)
1,375円(税込) 1,375円(税込)
追加カード年会費 発行不可 1,375円(税込)
お申し込み対象 法人代表者または個人事業主 法人または個人事業主
クレジットカード発行枚数 1枚(本人のみ) 複数枚(使用者カードの発行可能)
ETCカード発行可能枚数 1枚 複数枚
電子マネー Apple Pay
Google Pay(TM)
支払方法 ショッピング1回払い
ショッピング2回払い
ボーナス1回払い
ショッピングリボ払い
ショッピング分割払い
ショッピングスキップ払い
ショッピング1回払い
ショッピング2回払い
キャッシング キャッシング1回払い(国内・海外)
キャッシングリボ払い
決済口座 【法人代表者の場合】法人口座、個人名義口座
【個人事業主の場合】屋号付き口座、個人名義口座
法人の場合】法人口座
【個人事業主の場合】屋号付き口座、個人名義口座

オリコカード

比較項目 EX Gold for Biz S(エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エス) EX Gold for Biz M(エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エム)
対象 個人事業主 法人代表者
年会費 2,200円(税込)
初年度無料
2,200円(税込)
初年度無料
電子マネー Mastercardコンタクトレス
Visaタッチ決済
Mastercardコンタクトレス
Visaタッチ決済
ショッピング利用可能枠 10万円~300万円 10万円~300万円
キャッシング利用可能枠 10万円~100万円
ETCカード あり あり
付帯サービス あり あり
メンバー会員 最大3名
※年会費無料

個人事業主向けの法人カードと法人向けの法人カードの違い

違いその1.引き落とし口座が違う

個人事業主向けの法人カードの場合

契約者名義も、引き落とし口座も、個人名義になります。

法人カードとは言っても、どちらも個人名義なので契約や引き落としの仕組みは、個人向けのクレジットカードと同じになるのです。確定申告でも、個人名義の領収書でも、個人名義の法人カードでも、個人名義の銀行口座でも問題ありませんので、経費として利用できるのです。

法人向けの法人カードの場合

契約者自体は法人経営者(代表取締役)の個人名義になります。引き落とし口座は、法人名義の銀行口座が指定できます。

税務申告時にも、法人口座からの引き落としで、法人カードの利用ですから、問題にならずに経費として認められるのです。

契約者自身が法人経営者(代表取締役)であっても、個人のプライベートで使ってしまうと法人の口座から個人利用の費用が引き落とされることになってしまうため、経理が煩雑になってしまいます。役員立替、役員未払金での処理など、無駄な手間が必要になるため、法人の経費利用のみに使う必要があります。

違いその2.発行できる追加カードが違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人事業主の場合は、社員がいないので、社員に対して追加カードを発行する必要性がありません。

そのため、追加カードの発行ができない、もしくは、共同経営者・パートナー向けに数枚のみ発行できる設定になっています。

法人向けの法人カードの場合

法人カードの場合は、社員にも追加発行できるのが基本です。

ほとんどの法人カードが追加カードの発行ができるようになっています。

違いその3.発行できるETCードが違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人事業主の場合は、社員がいないので、社員に対してETCカードを発行する必要性がありません。

法人カード1枚に対して、発行できるETCカードも1枚が基本です。

法人向けの法人カードの場合

法人の場合は、社員がETCカードを使うケースも多くあります。

  • 営業として車を使う
  • 配達に車を使う
  • イベントに車を使う

という場合は、社員に追加カードは渡さなくても、ETCカードは渡す必要があるという会社も多いのです。

法人カード1枚に対して、複数枚のETCカードが発行できるのです。

支払は、親カードの法人カードに集約されます。

違いその4.審査が違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人事業主の場合は事業用の資金と言っても

  • 利用額が少額
  • 契約主体は個人

ですので、万が一返済できなくても、働いて返済することができますし、高額の借金を負う可能性も低いため

クレジットカード会社にとっては

貸し倒れリスクが低い = 審査を通しやすい

ことを意味します。

個人事業主向けの法人カードの方が審査は通りやすいのです。

法人向けの法人カードの場合

法人の場合は、契約主体は経営者個人ですが

法人の場合は、融資などを受ける際に経営者が個人保証に入ります。会社が倒産してしまうと、会社が借りていたお金がすべて経営者が返済しなければならなくなるのです。

そうなると、経営者が数百万円、数千万円の借金を背負うことになってしまうため、自己破産する経営者が多いのです。

経営者が自己破産してしまうと、借金は免除されてしまい、クレジットカード会社は貸し倒れ損失を負うことになってしまいます。

貸し倒れリスクが高い = 審査を通しにくい

ことを意味します。

法人向けの法人カードの方が審査は厳しいのです。

違いその5.発行スピードが違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人事業主向けの法人カードは、貸し倒れリスクが低いため、審査が甘い傾向にあります。

慎重な審査が不要になるため、発行スピードが早く、早ければ4営業日~5営業日で発行できます。

法人向けの法人カードの場合

法人向けの法人カードは、貸し倒れリスクが高いため、審査が厳しい傾向にあります。

慎重な審査が必要になるため、発行スピードが遅く、3週間~1カ月ぐらいかかる法人カードが多いです。

違いその6.限度額が違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人事業主の場合は、売上規模が小さい分、経費利用額も大きくはありません。

高額な限度額の必要性が少ないため、個人事業主向けの法人カードの場合は、限度額が低めに抑えられています。

法人向けの法人カードの場合

法人の場合は、売上規模が大きい分、経費利用額も大きくなりがちです。

高額な経費支払いに対応できる法人カードが望まれる背景があるため、法人向けの法人カードの場合は、限度額が高額に設定されています。

ただし、法人カードの発行直後の限度額「初期設定限度額」はそれほど高く設定されることはなく、利用実績に応じて、徐々に限度額が引きあがるのが一般的です。

違いその7.キャッシングが違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人事業主の場合は、法人カードであっても「キャッシング利用」ができます。法人カード申込み時にキャッシング枠を希望し、審査が通れば、最高で100万円程度の限度額で借り入れをすることが可能です。

個人事業主の場合は、ビジネスローンなどを利用しなくても法人カードのキャッシング利用で資金調達をすることが可能です。

法人向けの法人カードの場合

法人向けの法人カードには、基本的にキャッシング枠はつきません。

ショッピング利用のみです。

法人の場合は倒産リスクも高い為、「お金を貸す」つまり「融資」に該当するキャッシングサービスを提供することができないのです。

「キャッシング = 融資」を法人に行うことは、ショッピングの何倍も貸し倒れリスクが上がってしまうため、ほとんどの法人向けの法人カードで、キャッシングは利用できない設定になっているのです。

法人の場合は、ビジネスローンや銀行融資など資金繰りは法人カード以外の方法を取る必要があります。

違いその8.支払方法が違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人向けのクレジットカードの延長にあるのが「個人事業主向けの法人カード」です。

そのため、個人向けのクレジットカードと同じような支払方法が用意されています。

  • 1回払い
  • 2回払い
  • 分割払い
  • リボ払い
  • ボーナス払い
  • スキップ払い

などです。

法人向けの法人カードの場合

法人向けの法人カードの場合は

  • 1回払い

が基本です。

法人向けの法人カードの場合は、利用額も高額になり、貸し倒れリスクが大きいため、できるだけ立て替える期間を短くしたいクレジットカード会社に思惑があり、支払方法は一回払いのみという設定が多いのです。

違いその9.電子マネー、スマホ決済が違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人向けのクレジットカードの延長にあるのが「個人事業主向けの法人カード」です。

そのため、個人向けのクレジットカードと同じように、複数の電子マネーやスマホ決済に対応しています。

法人向けの法人カードの場合

それほど、店舗決済で利用する電子マネーやスマホ決済のニーズがないため、利用できる電子マネーのやスマホ決済の数はかなり少なくなっています。

違いその10.ポイントに関するサービスが違う

個人事業主向けの法人カードの場合

個人向けのクレジットカードの延長にあるのが「個人事業主向けの法人カード」です。

人向けの法人カードと比較するとポイント還元率は変わらないのですが

  • キャンペーンが手厚い
  • キャッシュバック
  • マイル移行

など、ポイントの使い勝手が良いものが多いです。

法人向けの法人カードの場合

  • キャンペーンが手薄
  • キャッシュバックできない
  • マイル移行できない

など、ポイントの使い勝手が限定されているものが多いです。

個人事業主向けの法人カードと法人向けの法人カードはどっちを選ぶべきか?

基本的には

  • 個人事業主 → 個人事業主向けの法人カード
  • 法人 → 法人向けの法人カード

なのですが

最近では、

社員数が少ない法人は、個人事業主向けの法人カードも利用できるようになっています。

社員数が数名から10名未満だと、社員に追加カードを持たせずに、経営者本人だけが法人カードを持っていれば、事足りるケースが増えているため、社員数が少ない法人でも、個人事業主向けの法人カードを利用することができるのです。

どちらも利用できるのであれば

個人事業主向けの法人カードをおすすめします。

なぜかというと

  • 審査が通りやすい
  • 発行スピードが早い。1週間程度で発行可能
  • ポイント還元率が高い
  • ポイントの使い道が多い
  • 電子マネーが付帯されている
  • スマホ決済に対応している
  • キャッシングも利用できる
  • 支払方法の種類が多い(分割払い、リボ払いが使える)

というメリットがあるため、個人事業主向けの法人カードの方が法人向けの法人カードよりも、使い勝手が良いのです。

まとめ

個人事業主向けの法人カードと法人向けの法人カードの違いは

  1. 違いその1.引き落とし口座が違う
  2. 違いその2.発行できる追加カードが違う
  3. 違いその3.発行できるETCードが違う
  4. 違いその4.審査が違う
  5. 違いその5.発行スピードが違う
  6. 違いその6.限度額が違う
  7. 違いその7.キャッシングが違う
  8. 違いその8.支払方法が違う
  9. 違いその9.電子マネー、スマホ決済が違う
  10. 違いその10.ポイントに関するサービスが違う

などがあります。

最近では、法人であっても、個人事業主向けの法人カードを発行できるものが増えてきています。

 

どちらも選べるのであれば、利便性の高い個人事業主向けの法人カードをおすすめします。

社員に追加カードやETCカードを持たせる必要性がある場合は、法人向けの法人カードをおすすめします。

 

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