法人カードも、一般向けのクレジットカードと同じようにショッピング利用とは別にキャッシング利用という方法も存在します。今回は法人カードでのキャッシングについて解説します。
法人カードでキャッシングできるのは個人事業主だけ
法人カードには個人事業主向けと法人経営者向けの2つの種類があります。
法人カードの場合、キャッシングサービスというのは、原則、個人事業主しか利用することはできないものです。
なぜかというと、クレジットカードのキャッシングというのは、クレジットカードをコンビニや銀行ATMに挿入してお金を引き出す、無担保ローンの一種です。
一般のクレジットカードの場合は、クレジットカードのキャッシングを利用して、お金を借りたとしても給料があるため、そこから返済することで貸し倒れを防ぐことができます。
しかし、法人が利用する法人カードの場合は、法人カードで借りたお金を
- 従業員の給料
- オフィスの賃料
- オフィスの光熱費
- 取引先への支払い
- 融資元への返済
- 商品の仕入れ
- 新規事業への投資
・・・
などの事業資金に使われてしまうリスクがあるのです。会社経営は不安定なものでいつ倒産してもおかしくないため、直接的にお金を貸すキャッシングサービスは使えないようにしているのです。
個人事業主であっても、本来は事業性資金として使う場合にキャッシングをすると貸し倒れリスクが高くなるものですが、法人カードの場合は個人事業主は個人の延長としてキャッシング利用が認められる(キャッシング限度額が設定される)ことがあるのです。
個人事業主の法人カードのキャッシング
例えば、個人事業主専用の法人カード「EX Gold for Biz S 」の場合のキャッシング利用条件は下記のようになっています。
- ご利用可能枠 : 10万円~100万円
- 返済方式 : 一括返済方式(1回払い)、リボルビング払い
- 返済期間 : 1ヵ月~55ヵ月
- 返済回数 : 1回~55回
- 貸付の利率 : 100万コース: 実質年率15.0%、~80万コース: 実質年率18.0%
- 遅延損害金率 : 実質年率18.0%
です。金利は貸金業法で設定されている利息上限100万円未満18.0%、100万円以上15.0%に設定されていて、最高100万円まで借り入れが可能です。
金利はビジネスローンと同じような金利設定ですが、銀行融資や公的融資と比較するとかなり高い金利設定になっています。
数年単位の長期の借入をする場合にキャッシング目的で法人カードを作るのであれば、その前に一度銀行融資や公的融資を検討してみると良いでしょう。
すでに法人カードを利用していて、急きょ数万円必要になったというのであれば、法人カードのキャッシング十分に活躍します。短期融資としてすぐに返済するのであれば、金利の高さはそれほど問題にならないからです。
個人事業主であっても、キャッシング枠がない法人カードもあるため、キャッシング利用をする必要があるのであれば、比較検討時にキャッシング利用可の法人カードかどうか確認が必要です。
一部、法人でもキャッシングが可能な法人カードもある!
前述した通りで、ほとんどの法人カードは「キャッシングサービスが利用できない」「利用できても、個人事業主のみ」となっています。
しかし、筆者が確認する中では現時点で1枚だけ、法人経営者でもキャッシング利用ができる法人カードがあります。
P-one Business MasterCardは、法人経営者でも最大300万円までのキャッシング利用が可能です。
限度額は別途審査によって決定されるのですが、資金繰りに困った時、緊急で資金が必要な時に活用できる法人カードと言えます。